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SPECIAL FEATURE 特集ページ

絵画に見る近世服飾史

絵画に見る近世服飾史

9月も半ばにさしかかり、少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。
季節の移り変わりとともに、街行く人々の服装もお店のディスプレイも秋の雰囲気が漂い始めました。
今年の秋冬はどのようなスタイルが流行するのでしょうか。
ヨーロッパでは、時代や文化の流れとともにファッションが継続的に変化を遂げてきました。
16世紀のルネサンス期頃から国ごとにスタイルが出来上がり、ブルジョワ階級から農民まで流行を追い始め“ファッション”という概念が確立してゆきます。
今回は近世(15世紀~19世紀初頭)の服飾史について特集いたします。

各国のスタイルが確立されたルネサンス・スタイル

各国のスタイルが確立されたルネサンス・スタイル

16世紀ルネサンスの時代、“華美”なフランス風、“シック”なスペイン風、“簡素”なドイツ風、“洗練された”イタリア風…と、それぞれの国で独自のスタイルが確立されていきます。
イギリスでは“エリザベタン・カラー"と呼ばれる襞付き襟が流行し、イギリスのエリザベス1世が好んで着ていたことから名づけられました。
また、“ファーチンゲール”という詰め物を腰に巻き、スカートを膨らませる方法が主流となります。
1570年代頃~17世紀にかけて、女性のスカートはパイナップル型に膨らみ、パーティー会場では全員が座りきれないような事態がしばしば発生。
また、男性も同様に、ブルマータイプのズボンが大きく膨らみ、議員が議会席に座りきれなくなったりもしたそうです。

  • Amberger, Christoph (ca. 1500-1562), Portrait of a Woman ドイツ

  • Betrothal Portrait of a Gentleman, 1554-1630

  • Portrait of Eleanor of Hapsbourg (1498-1558)  オーストリア

  • Portrait of Giovanna d'Aragona イタリア

  • French king Francois 1st (1494-1547) king in 1515-1547 フランス

  • Portrait of Henry VIII (1491-1547) aged 49, 1540 イギリス

  • Catherine de Medici, Corneille de Lyon (c.1500-75) フランス 髪をおおい隠していた奇妙な丈の高い帽子が消え、ヘッド・ドレスやケーブル・ニットと呼ばれる被り物が登場

  • Diane of Poitiers, Duchess of Valentinois. フランス ケーブル・フード

  • Portrait of Archduke Ernst of Austria, three-quarter length, in armour, c.1580  オーストリア 男性の大きく膨らんだパンツが印象的。議員が議会席に座りきれなくなったりもしたそう

  • Portrait of a lady, 1620 フランス エリザべサン・カラー もともとは下着のネックの部分に襞を寄せて外に出していたものだったが、やがて独立し、取り外し可能なものへと変わった

  • JAUREGUI, Juan de (1570-1641) スペイン エリザべサン・カラー 襞は、最初は針金で、後に米糊によって固めらた

  • William Somerset (c.1527-89) 3rd Earl of Worcester, 1569 イギリス エリザべサン・カラー

女性的で繊細、優美なロココ・スタイル 

女性的で繊細、優美なロココ・スタイル 

16世紀末頃、ヨーロッパの人々はノミやシラミに悩まされていました。
そのため、衛生状態を保つために地毛の頭髪を短く剃り、人毛を編んだかつらの着用が一般的となり、いつしかかつらの着用は正装となります。
バッハやモーツァルトのようなバロックから古典派にかけての音楽家達の髪型が似ているのは、かつらが正装であったためです。
また、女性の美の追求と執着は今も昔も変わりません。
16世紀頃から人工的に体系を整える習慣が始まり、18世紀に入るとその傾向はどんどんエスカレートしてゆきます。
女性は揃って“コルセット”でウエストを細く締めつけ、V字型のシルエットを作り、胸元の大きく開いたドレスを身にまといました。
このロココ時代には3000種を超える巨大で豪華なヘアスタイルが考案されたといわれています。
一方で、男性は横に低くカールをつけた髪形が一般的でした。

  • Paintings Louis XIV フランス ふさふさとした華麗なかつらはバロック時代の王権の象徴だった

  • Johann Sebastian Bach (1685-1750) in 1746 バロックから古典派にかけての音楽家達の髪型が似ているのはかつらが正装であったため

  • Vivaldi, Antonio (1678-1741) ヴェネツィア共和国(イタリア)出身の音楽家 プラチナブロンドが地毛は赤毛という噂もあるが…?

  • Anne of Austria, Queen of France (1601-1666) フランス 女性の間では“ヴィラーゴ・スリーブ”と呼ばれる、肘を境に大きく膨らんだタイプの袖が流行

  • Portrait of a Man, 1647 (oil on panel), Rembrandt Harmensz. van Rijn (1606-69) バロック期の画家、レンブラントの作品

  • Portrait of a Man, c.1640 フランス

  • King Charles I (1600-49) and his Family  イギリス

  • Marie-Therese de Savoie-Carignan (1749-92) Princess of Lamballe フランス ロココ・スタイル 大きく盛った髪型はスタイルが良く見えると評判であった

  • Marie Antoinette (1755-93) Queen of France, 1779  フランス ポンパドール風ドレスが定番。ゆったりとしたドレス、ペチコート、ストマッカーと呼ばれる胸当てが基本スタイル

  • Le roi de France Louis XVI (1754-1793, roi en 1774-1792)  フランス サイドだけカールした流行最先端のヘアスタイル

  • The Artist and his Family, 1730-62 フランス ロココ・スタイル

  • Madame Mercier (1683-1750) Surrounded by her Family, 1731 フランス ロココ・スタイル

  • 16世紀よりも後の1851年頃に使用されていたコルセットの例。ロココ時代から続くナイスバディの必須アイテム

ナポレオン風のシンプルなエンパイヤ・スタイル

ナポレオン風のシンプルなエンパイヤ・スタイル

1784年のフランス革命以降、ナポレオン・ボナパルトの台頭により、シンプルなスタイルが主流となっていきます。
そのスタイルはエンパイヤ・スタイルと呼ばれ、大きく開いた襟ぐり、小さなパフスリーブ、そしてハイウエストという、細くて直線的なシルエットのドレスが女性の間で好まれました。
18世紀後半の新古典主義の影響がこの時代のファッションにも表れており、古代ギリシャのヒマティオン、古代ローマのトーガのようなクラシカルな雰囲気が漂います。
1820年以降になると、再び華やかなファッションが好まれるようになります。
女性は洋服を花や羽根で洋服を飾り、頭には“ボンネット帽”をかぶりました。
このスタイルはロマンチック・スタイルと呼ばれ、男女共、徐々に現代に近いスタイルへと近づいていきます。

  • French emperor Napoleon 1st in saint Cloud with his nephews and nieces c. 1809 名や甥に囲まれるナポレオン

  • Madame Tallien (1773-1835) シンプルでロココ・スタイルとは対照的

  • Pauline Bonaparte (b. Paulette, 1780-1825), 2nd daughterof Bonaparte family, sister of emperor Napoleon1st ナポレオン・ボナパルトの2番目の妹

  • Madame Guiseppina Grassini (1773-1850) in the Role of Zaire, 1805 スペンサージャケットやショールなどとの組合わせも見られる

  • Illustration, probably from a German almanac, 1802

  • Statue of Antonia the Younger (d.37 AD) (stone) / Roman, (1st century AD) 古代ローマの衣装・トーガ この時期の女性のドレスが影響を受けていることがうかがえる

  • May Prinsep (1853-1935) 1885 ロマンチック・スタイル 再び華やかな服装が流行り始める

  • Diana Sturt, later Lady Milner, 1800-05

  • Family Portrait, c.1760

  • Back view of ladies gown, engraved by Dupin, plate no.247 from 'Galeries des Modes et Costumes Francais', c.1778-87

  • Newest Fashions for January 1831 当時流行したヘアスタイルの図。頭の左右、そしててっぺんに結い上げられたスタイルがお洒落であった

  • Men fashion in 1840 : hat, frock coat, engraving 男性のファッションは、徐々に現代に近いスタイルへと進んでゆく

巨大化したスカートのクリノリン・スタイル

巨大化したスカートのクリノリン・スタイル

1850年代、“クリノリン”と呼ばれる女性用下着が登場します。
下着といってもスカートを大きく膨らませるために発明されたもので、針金や鯨骨を輪状にして重ねて作られた骨組みのファンデーションです。
ところが、動くたびにクリノリンが引っかかり転倒し事故が起きたり、暖炉の火が燃えうつるなど、不便で危険な点が多くあったため、次第におしりの膨らみを強調したバッスル・スタイルへと移行していきます。
男性の服装は、現代の形とほぼ同じようになります。
ちょうどこの頃、日本に洋装が持ち込まれ、1880年代半ばに流行した鹿鳴館スタイルが、このバッスル・スタイルにあたります。

  • After the Ball それまではスカートを膨らませるためにペチコートを何枚も重ね履きしなくてはらなかったが、クリノリンの登場でドーム型のシルエットが簡単に得られるようになった

  • Portrait of Lady Middleton (1824-1901), 1863 クリノリンによってバランス良く膨らんだスカートの大きさはどんどん拡大してゆく

  • Charlotte of Saxe-Cobourg-Gotha (1840-1927) Princess of Belgium and Empress of Mexico ベルギー出身のメキシコの皇后

  • Woman with a crinoline dress c. 1860 一説によると、クリノリンの着用によって死亡事故まで起きていたという

  • Singer Rose Caron (1857-1930) バッスル・スタイル

  • Baroness Mary Vetsera, c.1880s “バッスル”とは、スカートの後ろの部分をふくらませるために用いる腰当て、枠のこと

  • Group of women at the theatre, c. 1890 劇場で観覧する女性たち

  • Jennie Jerome, later Lady Randolph Churchill, with her mother and sisters.

  • Women at race horse in Lyon (France) may 7, 1899 フランス、リヨンで行われた競馬の観覧に来た女性たち

  • Fashion for men : models of trousers, frock coats, coats, hats, c. 1900 1900年代の男性のファッション。テールコートは現代のスタイルとさほど変わらない

  • Women soaking their legs int he sea, postcard, c. 1900 - 1910 近代のファッションの一例

  • Young bourgeois couple : Mr Vaissiere and his wife Marthe, Nice, France, c. 1900 近代にはいると、洋服は上下とも動きやすく実用的になった

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